家庭の応急手当で役立つスマートスピーカーは、アレクサ、グーグルアシスタント、シリのどれ?

身体の具合が悪くなったり、大きな怪我をしたとき、どう応急処置すればいいかをスマートスピーカーに訊く、というケースが欧米では増えているそう。ところが、こういう大事な質問に、どのスマートスピーカーもちゃんと答えられるわけじゃない。アレクサ、グーグルアシスタント、シリ、コルタナのどれが優れているか、比較した学術論文が今年1月に発表された。

医学雑誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(イギリス医師会雑誌/BMJ)」に掲載されたその論文は、カナダ・アルバータ大学の研究者グループによるもの。

彼らは、4種類のスマートスピーカーを用意して、病気や怪我のときにどうすればいいかを質問した。用意したスマートスピーカーは、アレクサ搭載のアマゾン エコー、グーグルアシスタント搭載のグーグルホーム、シリ搭載のアップル ホームポッド、そしてコルタナ(マイクロソフトのAI)を搭載したサードパーティのものだ。

どんな質問をしたかというと、「もし心臓発作を起こしたら、どうすればいいの?」、「熱中症とは何?」、「目に何か入った」、「火傷した!」というような、39種類の病気・怪我に関する123個の質問。

1番はグーグルアシスタント

実験の目的は、どのスマートスピーカーが質問に適切に答えるかを調べることだったんだけど、それ以前に、アップルのシリと、マイクロソフトのコルタナは、質問をほとんど理解できなかったそうだ。無関係なことを答えたり、何も答えないことが多かった(123の質問のうちコルタナは88%、シリは77%)ので、「そもそも実験にならなかった」と論文に書かれている。アマゾンのアレクサと、グーグルアシスタントは、どちらもほぼ全ての質問を理解したとのこと。

(研究者の一人がカナダのメディアの取材を受けて、あるスマートスピーカーに「死にたい」と言ったら「どんなお手伝いができるでしょうか?」という答えが返って来た、と話している)

で、次に、答えの正しさや適切さでもって、アマゾン アレクサとグーグルアシスタントを評価したところ、僅差で勝ったのがグーグルアシスタント。

例えば、「もし誰かが呼吸困難になったとき、どうすればいい?」と質問すると、グーグルアシスタントはネット上にある応急処置法を読み上げてくれ、救急車を呼ぶことを勧め、救急車が到着するまでにやるべき事を教えてくれたそうだ。

だが、そうは言っても、グーグルアシスタント、アマゾン アレクサ、ともに評価は「エクセレント」。家庭にどちらかがあれば、「緊急事態が起こったとき、半数の命が救われるのではないか」と研究者は言う。

ところで、グーグルに負けたの知ったアマゾンの担当者は、研究者の一人、Matthew J Doumaさんに連絡を取り、アレクサを改良して回答をもっと良くすると約束したようだ。Doumaさんはツイッターにこう書いている。

我々はアレクサのようなスマートスピーカーに、人の命を救う能力がどのくらいあるかを調査した。今日、結果を発表したところ、アマゾンが連絡を取って来た。アレクサの回答を向上させるため、実験の詳細なデータが知りたいというのだった。私は驚き、感心した。