Amazonを退社した元重役は、Echoのマイクをオフにしてプライバシーを守っている

イギリスBBC放送のドキュメンタリー番組の中で、元Amazonのシニアマネージャーが、プライベートな話をするときはEchoのマイクをオフにするようにしている、と言っていた。日頃バカな話しかしない僕には関係ないけど、重要な話をすることが多い人は、マイクオフを心がけた方がいいのかも知れない。

今年2月に放送されたBBCのドキュメンタリー番組「Panorama」はAmazonの特集で、元AmazonのシニアマネージャーだったRobert Frederickという人がインタビューを受けていた。彼は家でEchoを使っているんだけど、プライベートな話や人に聞かれたくない話をするときは、Echo/アレクサのマイクをオフにしている、と言っていたのでちょっと驚いた。

Amazonの内情を知っている元重役がそうしてるってことは、プライバシーが100%守られるわけじゃないっていう証明みたいなもんだからね。

実際問題、プライバシーは100%守られるわけじゃない。Echo/Alexa(アレクサ)は、ユーザーの声を録音し、クラウド上のAmazonのコンピュータに送っている。ただし、1日中録音し続けるわけじゃないよ。(そんなことをしたら電気代がムダだし、Amazon側のコンピュータが大量のデータでパンクしてしまう)録音するのは、「アレクサ」と呼びかけられた後のワンフレーズだけ。時間としては数秒。フレーズの終わりをアレクサが判断して、録音を止めるんだ。このことは別に秘密じゃなく、Amazonがちゃんと公開している。ちなみにアレクサだけじゃなく、グーグルホームとか他のスマートスピーカーも、同じように録音しているよ。

録音なんかされるのは、あんまりいい気分じゃないけど、ある意味、これは避けられないと言える。アレクサはまだ発展途上だから、ユーザーの命令や質問を勘違いして、トンチンカンな応答をすることがある。それを人間(Amazonが雇ったスタッフ)が日々チェックして、録音を実際に聞いて、アレクサが正しく答えるように改良しているんだ。

こういうわけで、ユーザーからの命令や質問が録音に残るわけなんだけど、実のところ、アクシデントでそれ以外のものが録音されることがある。アレクサが「アレクサ」に発音が似た言葉を聞き間違えて、呼びかけられたと思って勝手に録音を始めてしまうとそうなってしまう。この時、ユーザーがたまたま大事なことを喋っていたらどうなる? たとえ数秒間でも、それが録音され、Amazonのコンピューターに送られ、保存され、スタッフに聞かれる可能性が出てくる。(Amazonは、ユーザー数千万人の膨大な録音のうち、スタッフが聞くのは1%以下だと言ってるけど、それでも聞かれる可能性はある)それに、録音が保存されていれば、ハッカーがそれを流出させる可能性だってある。BBCテレビに出た元Amazonの重役は、こういう可能性を恐れているわけだね。

録音はユーザー自身が聴けるし、後から消去もできる

元Amazonの重役がやっている「Echoのマイクをオフにする」というのは、誰でもすぐにできる。

Echo各機種の天面にある、「マイクオフボタン」を1度押せばいいんだ。そうすれば、ユーザーの声を拾うマイクが機能しなくなり、アレクサは何も聴かなくなる。録音も当然できない。ただし、このとき「アレクサ」と呼びかけても応答しないから、使うことはできないよ。

もう1度「マイクオフボタン」を押すと、マイクが元に戻って、アレクサを呼び出せるようになる。つまり、普通に使えるようになる。

(マイクオフボタンはどれか、というと、新型のEchoなら「∅」マーク、旧型なら「マイクロフォンの絵柄に斜線が重なった」マークのボタンがそう)

秘密の話をするときに、マイクオフボタンを押し忘れてしまっても、後から録音されたかどうかを確認できるし、録音を消去することもできるよ。具体的には、アレクサアプリで「設定」→「履歴」→「詳細を見る」と進めばいい。(AmazonヘルプのFAQ「6.録音内容を確認したり削除することはできますか?」の回答に詳しいやり方が書かれている)

また、Echo/アレクサのプライバシーに関するもろもろの疑問(例えば「アレクサは全ての会話を録音しているか?」「音声がAmazonのコンピューターに送信されたかどうかは分かるのか?」「録音の確認や削除はできるのか?」など)に答えるページがAmazonの中にあるから、プライバシー問題に敏感な人は見てみるといい。