忘れっぽくなった高齢生活にちょうどいいーアマゾンEcho 使い方いろいろ(第8回)

Echo/アレクサに、決まった使い方なんてない。みんな自分の都合に合わせて使っている。僕がアメリカで見聞きしたり、ユーザーフォーラムで読んだ実例を、読み物風に紹介しようと思う。今回はその8回目、高齢で、物忘れが多くなったと自覚するKさんの場合。

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「私ぐらいの歳になると、いろいろな事を忘れっぽくなる」と言うKさん。大事なことは覚えていられるが、どうでもいいような些細な事が思い出せず、「苛々することが多い」と嘆く。

だが、Echoを使い始めてから、苛立ちは減っているそうだ。Kさんはこんな例を挙げている……

まず、有名人の、顔は思い出せるのに名前が思い出せないとき。映画好きのKさんの場合、昔の映画俳優の顔をふと思い出し、名前を思い出せないことがよくあるという。

これって僕もよくあるけど、ほとんど気にしないでやり過ごしている。でも、高齢になると、それができないようだ。僕の伯父さん(60代後半)は、「自分がボケてきたんじゃないかと不安になって、すごくこだわってしまう」と言っていた。高齢になると、こういう小さなことでもイライラするんだと思う。

もちろん、忘れた俳優の名前くらいパソコンで検索すれば分かるんだけど、それには、テレビの前から立ち上がってパソコンのところまでいかないといけない。高齢者には、これが結講キツい。

こういうとき、Kさんは、Echo/アレクサに尋ねて教えてもらっている。

また、「歳をとってくると、そういう俳優が今何歳になっているか、生きているか死んでいるのかが気になる」のだそう。やはり自分の将来と重ねてしまうんだろう。でも、それも知りたければ、アレクサに訊けばいい。亡くなっていれば、没年や何歳で亡くなったかも教えてくれる。

他にも、読み書きをしていて言葉の意味がはっきりしないときや、地名などをド忘れしたときも、アレクサは役立つ。スポーツの試合結果やその日のニュースを教えてもらうこともできるし、知らないことをウィキペディアで調べてくれと言えば調べてもくれる。

Kさんならではの、やや特殊な使い方もある。彼は息子夫婦と一緒に住んでいて、その夫婦がよく旅行に行くそうだ。その間、Kさんは一人で留守番なのだが、(きっと淋しいからだろう)「息子たちが行った旅行先の、天気を気にする癖がある」と彼は言う。そんなときは、アレクサに場所を告げ、その場所の天気を知らせてもらっている。

KさんのEcho/アレクサの使い方をまとめると、こういうことだ。日常の中で頭に浮かんだそれほど重要でない疑問……言い換えれば、労力を使ってまで調べるほどでもない疑問、を、その場でアレクサに答えさせる。こうすることで、高齢のKさんは、物忘れから来るイライラを感じずに済んでいる。

もうひとつ、これもKさんの特種事情だけど、Echoのタイマー機能が、目の治療に役立っている。

最近、目の手術(おそらく白内障の)をしたKさんは、回復するまで、1日4時間おきに目薬を注さなければいけなくなっている。けれど、彼はそれをよく忘れてしまう。なのでアレクサに言って、4時間間隔で、1日4つのタイマーを半永久的にセットしている。普通のアラーム時計だと1つのタイマーしかセットできないけど、Echoならいくつでもタイマーをセットできるんだ。だから、一度に必要なタイマーを全部セットするような曲芸ができる。

(※注 僕はタイマーを30個セットしたことがある。噂では100個以上セットした人もいるようだ)

最後に、彼の奥さんもEchoを愛用していることを書いておきたい。奥さんもやはり高齢で、パソコンが苦手、ボタンが並んだ家電品リモコンも上手く使えない。なので、声で対応してくれるアレクサを気に入っているようだ。

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