Echoのおかげで母の介護が楽にーアマゾンEcho 使い方いろいろ(第11回)

Echo/アレクサに、決まった使い方なんてない。みんな自分の都合に合わせて使っている。僕がアメリカで見聞きしたり、ユーザーフォーラムで読んだ実例を、読み物風に紹介しようと思う。今回はその11回目、高齢の母の介護にEchoを利用するGさんの場合。

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実母の介護のために、妻や子供と過ごす時間も犠牲にしていたGさんは、Echoを家に置くことにした。すると、母の世話であれこれ動き回ることが、少なくなった。おかげで時間に余裕ができ、今では家族や友人たちとの交流を楽しめている。

具体的に、介護のどんな場面でEchoが役立ったのか? Gさんは次のような例を挙げている。

まず1つは、母親を連れて部屋を移動するとき。

Gさんの母は一人で歩けない。だから、移動の際はGさんが必ず手を取って連れて行く。部屋に入るとき、今まではGさんが扉を開け、その場で母をどこかに掴まらせておき、暗い部屋にGさんが入って照明スイッチを点けていた。

けれど、今は部屋にEchoがある。母の手を持ったまま、口で(声で)アレクサに指示すれば照明が点く。これで、今までの面倒な手順をそっくり省けるようになった。

同じように、母が「少し寒い」と言ったときもEchoが役立つ。これまでは、Gさんが立ち上がってエアコンの所まで行くか、リモコンを探すなどして温度調節していた。けれど今は、Echo/アレクサに声で温度を指示するだけでいい。

(※注 このように、Echoを使って照明や家電品を操作するには、アレクサ対応の特別な電球や家電品が必要になる。色々種類があり、Amazonのスマートホームストアでまとめて売られている。使い方についての分かりやすい説明もある)

「僕が新聞を取りに行かなくてよくなったのも、Echoのおかげです」とGさんは言う。「母は、何かにつけて世間で起こっているニュースを知りたがり、その度に僕が、外まで新聞を取りに行かなければなりませんでしたが、今では母が直接アレクサに尋ねて、ニュースを聞いていますよ」。

こんなふうに、Echoは、Gさんの手間を減らしている。それだけではない。もっと大事なこと……母が人間として生きる上で大事なことにも、Echoは役立っている。

一人では何もできないGさんの母は、Gさんに用事を頼んで負担をかけてしまうことを、日頃から「負い目」に感じていたそうだ。しかし、アレクサになら、気兼ねなく何でも命令できる。ニュースや天気を尋ねたり、エアコンの温度を変えさせたり、照明の明るさを変えさせたりできる。

頑張って一人で照明スイッチを点けようとした母親が、暗い廊下の奥に行き、転んで怪我するようなこともなくなったそうだ。

歳のせいで色々なことをど忘れしても、母親はいちいちGさんを煩わせず、アレクサに尋ねている。

こういったことが、「人のお荷物になっている」という思いを母親の心から消した。そして、「Echoを使い始めてからの母は、若い頃の自信を取り戻したように見えます」とGさんは言っている。

介護のために、これまで自分の時間を削っていたGさんだけど、Echoを使うようになってから介護が楽になり、そのぶん妻や子供、友人たちと過ごす時間が増えたそうだ。世の中にはEchoを『必要のない贅沢品だ』と言う人がいるけど、Gさんと母にとっては「そのEchoが、日々欠かせないものになっている」そうだ。

ところで、Gさん自身も電子機器の操作が苦手な、いわゆるデジタル音痴らしい。Echoはタッチ画面じゃなく声で操作できるので、ストレスがないと言っている。

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