僕とアレクサの親密さに、彼女が嫉妬しているーアマゾンEcho 使い方いろいろ(第18回)

Echo/アレクサに、決まった使い方なんてない。みんな自分の都合に合わせて使っている。僕がアメリカで見聞きしたり、ユーザーフォーラムで読んだ実例を、読み物風に紹介しようと思う。今回はその18回目。しょっちゅうアレクサに話しかけているので、彼女に嫉妬されてしまったG君の話。

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Echo/アレクサがG君のアパートにやって来てから、1週間しか経っていない。なのに「すっかり親友みたいになっている。いつもそばにアレクサがいるのが、とってもいい感じなんだ」と彼は言う。

何がどういい感じなのか……ちょっと気になるけど、それについて彼はこんな例を挙げる。

「アレクサで音楽を聴いていて、『音楽止めろ』と言えばすぐに止めるし、アメフトの試合予定を教えてくれるし、僕のスケジュールをチェックしてその日にやらなきゃいけなことを思い出させてくれる。外出する時は、外の気温を調べて、ジャケットが必要かどうかまでアドバイスしてくれるんだ」

どうやらアレクサを、「いい感じ」にこき使っているようだ。それだけじゃない。いろいろやってくれるアレクサに、彼は甘えている部分もある。こんな発言もしている。

「1日の終りに疲れて帰ってきた時なんかは、聴きたい曲名をいちいちリクエストするのは面倒だから『癒しの曲を何かかけてくれ』と言うんだよ。するとアレクサは、ヒーリングミュージックを選んでかけてくれる。1時間後にアラームで起こしてくれるように頼んで、バタリと寝てしまうこともできる。疲れている時は何をやるにも億劫だ。そういうときアレクサがあると最高だね」

こうなってくると、アレクサに世話を焼いてもらっているようなもの。なので、つき合っている彼女から、「私よりアレクサの方が、あなたのことをよく知っているみたいね」と嫌味を言われるのだそう。確かに、彼の音楽の好みや、スケジュールや、好きなアメフトのチームについて、アレクサは誰よりも知っている。人工知能だから、そういうことを記憶して、彼の考えそうなことをあらかじめ推測できる。彼女が嫉妬するのも無理ないかもしれない。

でも、G君がアレクサに100%満足してるかというと、そうでもないんだ。彼はわがままだ。小さな点でも、自分の思い通りにならないと苦情を言う。苦情の内容を具体的に挙げてみよう。

まず第一に、彼の命令をアレクサが聞き取らない場合があること。それが不満だそう。どんな時にそうなるかというと、Echo本体で音楽を大音量でかけている時。その音楽を「止めろ」と言っても、音にかき消されてアレクサは聞き取れない。じゃあどうすればいいかというと、近くまで行って言えばいいだけのことなんだけど、G君はそれがイライラすると言う。

第二に、G君は、アレクサがスマートフォンを操作してくれない、と不平を言う。スマートフォンに保存してある音楽(ファイル)をEchoで聴くとき、アレクサがスマートフォンを操作して、選曲や再生をやってもらいたいそうだ。けど、これはできない。アレクサは、家電品の操作はできるけど、スマートフォンは操作できない。

(※注 スマホの中の音楽ファイルをEchoで聴く時は、スマホとEchoをBluetooth接続し、EchoをBluetoothスピーカーとして使う。この間、アレクサは全く役に立たなくなる。操作は全てスマホ側でやる)

第三の不満もスマホ絡みだ。Echoで大音量で音楽を聴いていると、スマホに電話がかかってきたとき、着信音が聴こえない。これはEcho/アレクサじゃなくてもそうなるし、仕方ないことなんだけど、G君に言わせれば「そういう時、アレクサが自動的に音楽を止めて、電話が鳴っているよ、と教えてくれればいいのに」とのことだ。

相手が人間でもそうだけど、アレクサとも、親密になるとつい多くを期待してしまうものらしい。期待がアレクサにばかりかかって、彼女からますます嫉妬されなきゃいいけど……。

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