こんなにしょっちゅう使うとは思わなかったーアマゾンEcho 使い方いろいろ(第22回)

Echo/アレクサに、決まった使い方なんてない。みんな自分の都合に合わせて使っている。僕がアメリカで見聞きしたり、ユーザーフォーラムで読んだ実例を、読み物風に紹介しようと思う。今回はその第22回。機能なんかより、Amazonというブランドと、見た目のカッコよさでEchoを選んだ女性ユーザー、Nさんの場合。

全26回『アマゾンEcho 使い方いろいろ』連載目次→

Nさんは、Google Home(グーグルホーム)とAmazon Echo(アマゾンエコー)のどちらを買うかさんざん迷って、結局Echoにした。決めた理由は意外にシンプル。Amazonというブランドになんとなく親しみがあったのと、Echoの飾り気のない形と色がよかったから。

こんなふうに感覚で決め、機能を細かく検討しなかったのは、しょせん目新しいおもちゃに過ぎないと思っていたからだそう。Nさんは以前、物珍しさからスマートウォッチを買い、凄い機能に期待したことがある。ところが、「結局できることはスマートフォンと同じで、スマートフォンがあれば全部事足りちゃった」という。最新テクノロジーのスマートウォッチも、使ってみれば、実用性のないおもちゃみたいなもの——それが分かった彼女は、人工知能搭載のEchoもしょせんおもちゃ、と割り切り、デザインの好みとAmazonブランドで決めてしまったというわけだ。

ところが、しょせんおもちゃ、という考えは、大きく裏切られた。

「実際に使ってみて、Echoがただ珍しいだけのハイテクガジェットじゃないってことが分かったわ。だって、暮らしの中で毎日使っているんだもの」

こう言う彼女がEchoを一番使うのは、キッチンで音楽を聴くとき。Echo/アレクサは、手を使わず、声で指示するだけで曲をかけることができる。だから、調理しながら好きな曲が聴ける。これが「いいのよね」とNさん。

彼女のリクエストの仕方は、曲名ではなく、アーティスト名を言うやり方だ。こうすると、アレクサはそのアーティストの曲をランダムにかける。曲名だと1曲で終わってしまうけど、アーティスト名なら、好きなアーティストの曲をずっと聴いていられる。

ときに彼女は、どんな曲を聴きたいか自分でも分からないことがあるそうだ。そういう時は、「静かなジャズを」というように、何となくのイメージをアレクサに伝えている。こうすると、アレクサが推測して、それっぽい曲をかけてくれる。実はこういうことを、僕もよくやっている。疲れたとき、選曲なんかに頭を回したくないとき、「元気が出る曲を」とか「癒される曲を」とか、適当にリクエストするとすごくラク。それに、どんな曲が出てくるかも楽しみだし。

もう1つ、音楽がらみでNさんがよく使う機能がある。聴いて「いいな」と思った曲は、その場でアレクサに言って、自分用のライブラリーに加えさせる。こうすれば、せっかく出会った曲を逃がさないで済む。後から、記憶を頼りに曲を検索するのは大変なものだ。

こんなふうに曲をライブラリーに加えるのは、もちろん、普通の音楽プレーヤーでもできる。けれど、手でボタン操作するのは煩雑だ。料理中には特にやりたくない。その点、声でサッと指示すればいいアレクサは簡単だ。作業中に重宝する。

(※注  アレクサでNさんのように音楽を聴くには、音楽配信サービスに入会しておかないといけない。これには有料版・無料版があり、Nさんが入っているのは無料版。ただし無料版は曲間に広告が入る。アレクサと相性がいいのは、やはりアマゾンの音楽配信。興味があるなら、Amazonサイトの「アマゾンミュージック」のページに紹介されている)

彼女がアレクサで聴いているのは、音楽ばかりじゃない。天気予報やニュースを毎日聞いているし、ラジオ局を流しっぱなしにしておくことも多い。(アレクサはインターネットラジオを流すことができる。これは音楽配信と違って手続き不要、しかも完全無料)彼女は実家から出て都会で暮らしているので、時々故郷の町が恋しくなるそうだ。そんな時、アレクサで地元のローカル局を聞いて、故郷に思いを馳せている。地上波だと受信できないローカル局も、アレクサのインターネットラジオなら聞ける。

Nさんのアレクサの使い方は、こんなふうに、何かを「聴く」ことがメインだ。ただ、別の新しい使い方を、使う中で自然に発見しつつあるという。例えば最近、料理中に材料のグラム数を計算しないといけない場面があったらしい。(きっとレシピの人数分を割り算して減らすためだと思う)その時、「ふと考えて、アレクサに計算させてみた」ら、すぐに答えてくれた、とNさん。アレクサに計算機能があることを知った彼女は、それから料理以外の計算もアレクサにさせている。

最初のうち、Echo/アレクサを「実用性のないハイテクおもちゃ」と軽く見ていたNさんだけど、もうその考えは捨てた。彼女にはルームシェアしている2人の友人がいて、その2人は当初、Nさんが機械(アレクサ)に話しかけるのを半ばバカにしていたらしい。ところが、今では2人の方がEchoを使っているそうだ。使える時間が減ったNさんは、キッチンのEchoを自分専用にして自室に持って行き、キッチンには別の安いEchoを買って置こうかと考えている。

全26回『アマゾンEcho 使い方いろいろ』連載目次→