Echoは軽薄なITガジェットとは違うーアマゾンEcho 使い方いろいろ(第23回)

Echo/アレクサに、決まった使い方なんてない。みんな自分の都合に合わせて使っている。僕がアメリカで見聞きしたり、ユーザーフォーラムで読んだ実例を、読み物風に紹介しようと思う。今回はその第23回。使ってみて初めてEchoの実用性に気づいたという、ITエンジニアのHさんの場合。

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Hさんは、僕が仕事の関係で知り合ったITエンジニアだ。長年IT業界にいる彼は、毎年のように登場するハイテクガジェットを残らず見て来た。その感想として、「ハイテクガジェットは役に立たないおもちゃ」だと、バッサリ切り捨てる。ただ、例外はある。それがEcho/アレクサだという。

そもそも彼がEchoを買ったのは、音楽を聴くというだけの目的だった。アマゾンプライムの会員だった彼は、特に手続きをしなくても、Echoで音楽を自由に聴ける。それが簡単でよかったから、グーグルホームでなく、アマゾンEchoを選んだ。それに「Echoもしょせんはハイテクガジェット。大した使い道はないだろうから、音楽だけ聴ければいいや」という気もあった。

(※注 Echoで音楽を聴くには、基本的に、アレクサ対応の音楽配信サービスに入会する必要がある。無料の配信サービスでも構わない。アマゾンにも無料版アマゾンミュージックがあるが、無料版は曲間に広告が入る。Hさんのように、アマゾンプライム会員になっていれば、会員特典として、追加料金無しで有料版アマゾンミュージックを利用できる)

そして当初の目的通り、Hさんは、Echoを音楽専用機として使っていた。けれどそのうち、他にも便利で使える機能があると気づいたそうだ。例えばとして彼が挙げるのは、まず天気予報。アレクサに天気を尋ねると、ネット上にある最新の天気情報を教えてくれる。もう1つは、ニュース。これもアレクサに尋ねると、ネット上のニュースの見出しを読み上げてくれる。

そして、「極め付けの便利さ」と彼が絶賛するのが、家電品のコントロール。

いっときCMで流れていたように、アレクサに「電気点けて」と声をかけると、部屋の電気(照明)を点けてくれる。照明だけでなく、エアコンやテレビのオン/オフもできる。温度調節やチャンネル切り替えといったコントロールもできる。

Hさんは最初、家電品のコントロールにはまったく興味がなかったそう。でも、「アレクサでそれをやっている人たちの話を読んだり、聞いたりするうちに、試してみる気になった」。今ではその便利さに魅入られてしまい、アレクサ対応の本格的ホームオートメーションシステムを導入するつもりでいる。

(※注 アレクサがコントロールできる家電品はたくさんある。アレクサ対応でない家電品も、できる。日本では、赤外線リモコンと連携させて非対応のエアコンやテレビをコントロールするのが人気だ。何が必要でどうやればできるか、は、アマゾン内の「スマートホームをはじめよう」ページに分かりやすい説明がある)

ここまで読むと、Hさんが手放しでアレクサを褒めているみたいだけど、そうではない。彼が指摘する難点は、時としてユーザーの指示を理解しないことだ。確かにアレクサは、こちらの言うことが分からずトンチンカンな答えを返して来たり、「意味がわかりません」と言うことがある。

しかし、この問題を、Hさんは大きな事だとは思っていない。アレクサを含め、どんな人工知能も今は不完全だということを、ITエンジニアとして働いて来た経験からよく分かっているからだ。そして、時間が経てば修正されていく、ということも分かっている。人工知能を修正し、改善するのは担当エンジニアの職務だし、企業がそれを要求するからだ。「アマゾンの技術者は、アレクサの機能を進歩させ続けるはず」、とHさんは確信している。

ちなみに、アレクサの機能のアップグレードは、アマゾン側で自動的にやってくれる。使う側は、何もしなくても、いつも一番新しいアレクサを使っていることになる。

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