声で家に命令する未来感が楽しいーアマゾンEcho 使い方いろいろ(最終回)

Echo/アレクサに、決まった使い方なんてない。みんな自分の都合に合わせて使っている。僕がアメリカで見聞きしたり、ユーザーフォーラムで読んだ実例を、読み物風に紹介しようと思う。今回はその最終回。アレクサに声で指示して、いろんな家電品を操作するのが「SFみたいで楽しい」というMさんの場合。

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Mさんは、科学雑誌の編集者だ。最先端技術というものを、よく知っている。それだけに、彼のEcho/アレクサに対する評価は厳しい。「未来を先取りしたものではあるが、本当の意味で役立つとは言えない」という。

じゃあ彼がEchoを使っていないかというと、そうでもない。実際は、音楽を聴いたり、買い物メモをアレクサに書かせたり、家電品を操作させたりと、結構使っている。

その理由は、「面白い」からなんだそう。「アレクサはまだ不完全で、出来ることが少ない」。だから暮らしに役立つとまでは言い切れない。けれど、声でアレクサに命令したことが現実になる。そこに「面白さがある」と言う。一番いい例として彼が挙げるのは、家電品の操作だ。

Mさん宅は部屋数が多い。けれど、苦労をいとわず、全室の照明をアレクサ対応のものに替えた。なので、アレクサで操作できるようになっている。声でアレクサに指示すると、それが現実になり、照明が点いたり消えたり、薄暗くなったりする。これが一番面白いのだそう。

奥さんと二人で帰宅したときは、家の中は誰もいないので真っ暗だ。けれど、玄関でアレクサに声をかけると明るくなる。こういう時は、誰かが待ってくれていたような感覚があって、それもまた面白いという。

もちろんこうしたことは、多少役立ってもいる。彼の家のリビングルームは、入口から遠いところに電気(照明)のスイッチがあり、電気を点けるには暗い中を歩いて行かなければいけない。けれど、アレクサを使えば、その場で声がけすればいい。暗い中を恐る恐る歩く必要がなくなるというわけだ。

もう1つ、これまで彼は、寝る前に1つひとつの部屋を回って電気を消していたが、Echo/アレクサを置いてからは、一声かけるだけで全てを一斉に消せるようになった。これも、役立っている例だそう。

他にも彼は、アレクサでテレビのチャンネルを切り替えたり、エアコンの温度設定をしたり、扇風機のオン/オフをしている。どれも手元のリモコンでやれば済むことだけど、声で言った通りにチャンネルが変わったり、扇風機が回りはじめたりするのを見ると、「未来を体験している」という感じがして、ちょっとスリリングなのだそう。

Echo/アレクサでできることは、Mさんが言うように、まだそれほど多くない。メインは照明のオン/オフや、エアコン、テレビの操作くらいだし、その操作の内容もある程度限られていて、自由自在に何でもというわけにはいかない。

けれど、アレクサは日々進歩している。(アマゾンの技術陣が進歩させている)家電業界も、アレクサ対応の製品を次々と開発している。その結果、アレクサができることは、急ピッチで増えている。最近は、朝起きて「おはよう」と声がけするだけで、アレクサがカーテンを開け、コーヒーメーカーのスイッチを入れ、ガレージのシャッターを開け、車のエンジンを始動させる、なんていうこともできるようになっている。(設定が大変だけど)

Mさんに言わせると、今のアレクサはまだ「未来のホームオートメーションを感じさせる」程度のもので、未来のホームオートメーションそのものではない。僕もその通りだと思う。しかし、そういった未来をいち早く経験できる面白さ、楽しさが、Echo/アレクサの魅力と言っていいだろう。

(※注 アレクサで照明や家電品を操作する方法については、アマゾン内の「スマートホームストア」に、入門者向けの説明ページ『スマートホームをはじめよう』がある)

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