これを買う理由
- 小型なのに音がいい
- 画面の自動色彩調整機能がいい感じ
- ライバル機Google Nest Hubと同じ自動フレーミング機能
- カメラの窓を閉じてプライバシーを守れる
買うのを見送る理由
- ブラウザ経由でしかYouTubeを見れないのが面倒(Show5やShowと同じ)
- 3.5mmケーブルで外部スピーカーを繋げられない
※ ここでレビューしているのは、2021年に発売されたEcho Show8(第2世代)です。(2024年2月時点で最新モデル)以下、省略して「Echo Show8」と書いてありますが、すべてEcho Show8(第2世代)のことです。
Amazon Echo Show8(第2世代)は、最高峰のEcho Show10(第3世代)と、格安小型版のEcho Show5(第2世代)の、中間に位置する機種です。画面が8インチサイズなので名前が「Show8(ショー・エイト)」。
機能を細かく見てみると、実用上で大事な部分はケチらず、あまり大事でない部分は質を落として、全体の価格を低めに設定してあるのが特徴。
日本より早く発売されたアメリカでは、「ベストの画面付きEcho」という評判があります。
デザイン
縦13cm×横20cm×奥行き9.9cmのShow8は、全体が角の取れたくさび形。Show5を2まわりほど大きくした印象のボディです。
1番大きいEchoShow10(25cmx23cmx17.2cm)と比べると小さいのはもちろん、角が丸いデザインなので、狭い場所にも置きやすくなっています。
裏側には、目の細かいハードなメッシュ生地が張られています。ボディの色はサンドストーン(白に近いグレー)とチャコール(ほぼ黒に見える濃いグレー)の2色。このレビューではチャコールを使いました。
上面には4つのボタンが並んでいます(下の写真)。ボタンの間にポツポツと開いた穴は内蔵マイクです。一番右の「∅」マークのボタンを押すと、マイクとカメラがオフになり、アレクサは何も見ず、何も聞けなくなります。
「+」と「-」マークのボタンは音量調節ボタンです。これを使わず、声でアレクサに命令しても音量調節はできます。
一番左は「カメラカバー」を開閉させるツマミ。これをスライドさせると、カメラレンズの前にある小窓(カメラカバー)が開閉します。小窓を閉めるとレンズが塞がれるので、何も映らず、プライバシーを確実に守れます。
「∅」(マイク/カメラ オフボタン)を押しても、カメラは(電気的に)オフになりますが、それを信用できないユーザーには、この原始的な「カメラカバー」が好評です。
画面
Show8の画面サイズは小さ目のタブレットPCくらい。上位機のEcho Show10と、下位機のShow5の、中間に当たる8インチサイズです。(ちなみにEcho Showは10.1インチ、Show5は5.5インチ)
Echo Showの10.1インチ画面と比べると、Show8の画面はふた回りほど小さい感じ。動画を見るときの迫力ではShow10に敵いません。しかし、画面解像度は全く同じで、1280×800ピクセルです。最先端の4Kディスプレイではありませんが、解像度としてはハイビジョン/HDの部類に入ります。
Show8で、アマゾンプライムビデオのTVドラマと映画をいくつか見てみました。特に印象的だったのは、カーチェイスや格闘シーン、爆発シーンなど、スピードと動きのある場面の鮮明さです。(下位機のShow5に、これだけの鮮明さはありません)ただ、8インチ画面はやはり小さいので、ドラマの世界にどっぷりとは浸れません。映画やドラマを十分楽しむには、やはりテレビやPCが良いでしょう。
Show8には、内蔵センサーが周囲の照明の種類を感知して、画面の明るさだけでなく、画面の色調まで上手く調節してくれます。(Amazonはこれを「自動色彩調節機能」と呼んでいます)例えば、白っぽい照明の下と赤っぽい照明の下では、色が多少違って見えるものですが、これが同じに見えるように自動調節してくれるわけです。
この機能は旧型のShow8(第1世代)やShow5にはありません。同じものを画面に映して比べてみると、Show8(第2世代)の発色は、温かみのある感じになります。ただ、これは時と場合によるようで、頭上近くに照明があるときは黄色が強く出過ぎるようです。そのため、全体がセピア調になり、少し興ざめすることがありました。この自動調節機能は解除することもできます。
ちなみに、「自動色彩調節機能」はEcho Show10(第3世代)や、ライバル機のグーグル Nest Hub、Nest Hub Maxにも付いています。発色の優劣をつけるなら、個人的な感覚ですが、Nest Hub、Nest Hub Maxの方が上でしょう。
Show8(第1世代)はタッチスクリーンの反応がやや遅かったのですが、第2世代はプロセッサがバージョンアップされ、反応の遅れは感じられません。
音質
Show8のスピーカーは出力10W・2インチサイズのものが2個(ステレオ)、それと、低音のボリュームを増すパッシブラジエーターが1つ内蔵されています。
(パッシブラジエーターとは、電気の通っていないダミーのスピーカーのこと。実際に音を出すスピーカーの、低音域の空気振動に同調して振動するため、低音域が増強されて聴こえます)
また、2個のスピーカーは、ネオジウムスピーカーというランクが高いもの。普通より磁力の強いネオジウム磁石が使われており、小さいサイズでも大音量が出るという特長があります。
実際に出てくる音の特徴は、というと、まず、中低音が強めに出ることが挙げられます。高音は抑えられ、良く言えば、角の取れたマイルドな音。悪く言えば、高音のきらめきに欠けた音、と言えるでしょう。
また、音量(ボリューム)の点では、小さな本体サイズからは想像できないほどのパワーがあります。おそらく、ネオジウムスピーカーとパッシブラジエーターの効果でしょう。ただ、音量(ボリューム)を最大の「10」に近づけると、ぼやけた感じの音になり、場合によっては音割れします。
試しに数曲聴いてみた感想は次の通りです。まず、ベース音の出方をみるために、ザ・ナイフの「Silent Shout」を聴きましたが、迫力のあるベースが歯切れ良く出ていました。「壁を震わせる」ほどの低音ではありませんが、「パンチがある」といった印象。また、この曲は、最大音量で聴いても音割れしませんでした。
次に聴いたのは、静かな部分から騒がしい部分まで様々な曲想が1つになった、プログレッシブロックバンド・イエスの「Round About」です。冒頭はアコースティックギターの独奏なのですが、アコースティックならではの澄んだ音が鮮明に出ていました。ロック調に移った後、特徴的なベースの動きやボーカルが、他の音からクリアに分かれて聞こえるのも良い点です。ただ欲を言えば、ハイハットシンバルやギターの最高音のような、非常に高い音がもう少し前面に出てくれると良かったと思います。
ホームパーティーなどで広いリビングに音楽を響かせたいときは、Show8ではやや力不足。最大ボリュームにすると良い音が出ません。狭めのリビングや一人暮らしの部屋なら、Show8の音量は十分です。
Bluetoothスピーカーを持っているなら、Show8と繋いでそちらを鳴らすことができます。Show8の内蔵スピーカーよりいいBluetoothスピーカーなら、もっといい音が出ます。なお、Show8(第1世代)は、3.5mmオーディオケーブルでも別スピーカーを繋げられましたが、第2世代にはそのためのジャック(AUX-OUT端子)がないため、ケーブルでは繋げられません。
内蔵カメラ
Show8の内蔵カメラは、標準的なWebカメラより遥かに上の1300万画素(13メガピクセル)。この画素数は、ライバルのグーグルNest Hub Maxのカメラ(6.5メガピクセル)を凌ぎます。
内蔵カメラを使うのは主にビデオ通話のときです。(写真も取れますが、大抵の人はスマートフォンで撮るでしょう)カメラ画素数の多いShow8だと、ビデオ通話をしているユーザーの顔が、相手の画面によりはっきり映ります。顔だけでなく、相手に見せたい書類の文字や図表などもはっきり映ります。
「ビデオ通話は100万画素のカメラで十分」と一般に言われていますが、実際にビデオ通話をやって、100万画素カメラとShow8の1300万画素カメラを比べてみました。やはりShow8のカメラの方が、色々なものを鮮明に映します。特に、自分の髪の毛の一本一本や、照明が当たって光っている部分(ハイライト)、後ろにある本棚に置いた小物などがはっきり映っていました。また、照明が暗くても、1300万画素のShow8だと、映りがザラついた感じになりません。
Show8のカメラには、ビデオ通話の時に、ユーザーの顔をいつでも画面の中央に据える機能があります。Amazonはこれを「自動フレーミング機能」と呼んでいます。(カメラ映像をデジタル処理して映る部分をズラします)また、ユーザーがカメラから遠ざかると、自動的にズームインして、顔の大きさを同じに保ちます。だから、こちらが喋りながら何かやって、体を動かしたり、カメラから離れたりしても、相手にはこちらが画面真ん中にいるように見える、というわけです。
実際にビデオ通話してみると、この機能は90%くらい上手く働きます。なかなかのもの、と言っていいでしょう。時には、こちらの姿が画面の端に行ったまま、ということもありました。また、大きな身振りで話していると、センサーが混乱してしまうのか、全く機能しなくなることもありました。ただ、総合的に見ると、「自動フレーミング機能」は上手くいっていると言えます。ビデオ通話をよくするなら、あった方がいいでしょう。嫌ならいつでもオフにできます。
スマートホーム
他のスマートスピーカー同様、Echo Show8でも、もちろんスマート家電を操作できます。声でアレクサに命令して、電球のオン/オフや明るさ調節をしたり、(アレクサ対応の)エアコンやテレビなどを操作できるほか、同じ操作を画面タッチでもできます。
これをやるには、場合によってはですが、スマートホームハブ(スマートハブ)やブリッジと呼ばれる小さな無線装置(だいたい5〜6千円程度)か、スマートリモコンと呼ばれるもの(LinkJapanのeRemoteなど)を買い足す必要が出てきます。こういったものを使わずに、Show8で直接操作できる家電品(電球、テレビ、エアコン、照明器具、ドアロックなど)も多くあります。
上位機のEcho Show10にはスマートホームハブが内蔵されていますが、Show8には内蔵されていません。しかし、最近はスマートホームハブなしで操作できる家電品が増えているので、「なしでも困らない」という声がユーザーから多く上がっています。
またShow8は、Show10やShow5と同じく、見守り・監視カメラのモニターディスプレイにもなります。(その方法はAmazonヘルプ「Echo Showの自宅モニタリング機能を使用する」と「Echo Showの自宅のモニタリング機能を設定する」に書かれています)
評定
アレクサの便利さをフル活用できて、音が良くて、画面付きで、手が届く値段のものを求めている人にお勧めできます。
上位機のEcho Show10より目立って安い値段ですが、機械的性能はあまり変わりません。また、アレクサの働きは全く同じです。下位機のShow5と比べると、スペックは格段に上です。
こんな人にお勧め
- それなりの予算で、画面付きで、なるべく音の良いスマートスピーカーを求める人に
- 上位機のEcho Show10は値段が高いと感じ、下位機のShow5だと小さすぎると感じる人に