Echo/アレクサに、決まった使い方なんてない。みんな自分の都合に合わせて使っている。僕がアメリカで見聞きしたり、ユーザーフォーラムで読んだ実例を、読み物風に紹介しようと思う。今回はその1回目、音楽好きのB君の場合。
生活の中にいつも音楽があり、自分でもギターを弾くというB君は、アレクサの能力の「99%は使えない」という。
じゃあ使える1%は、というと、「デフォルトで備わっているベーシックな機能」。その中でも「音楽再生は最高！」だそう。人工知能（アレクサ）とスピーカーの組み合わせは、ミュージックプレーヤーとして「パーフェクト」と言っている。
B君がEchoで聴いているのは、音楽ストリーミング配信のSpotify（スポティファイ）。アマゾンがお勧めすしているのはアマゾンミュージックだけど、Spotifyだって問題なくEcho/アレクサと連携する。曲を聴くには、アレクサに曲名を言えば、それをかけてくれる。自分用のプレイリストをアレクサに読み上げさせて、その中から曲を選ぶこともできる。
曲名を言わなくても、例えば、アルバム名を言えば、アレクサはそれを頭からかけてくれるし、アーティストの名前を言えば、アレクサがその人の有名な曲を適当に選んでかけてくれる。
B君は、知らない曲との出会いを楽しみたい性格なので、もっと漠然としたリクエストをするそうだ。例えば「何か静かなピアノ曲を」みたいな言い方をする。するとアレクサが、Spotifyの中からそういう曲だけを選んでかけてくれる。
じつは、もっと凝った、マニアックなリクエストにも、アレクサは応えることができる。
趣味でギターを弾くB君は、よく「アコースティックギターのフラメンコの曲を」というような言い方でリクエストしている。もっとすごい例では、曲の調を指定して「イ短調のギターの曲」をアレクサに探させたこともあると言っている。（この時は、アドリブ練習のバックトラックとしてイ短調の曲が必要だったらしい）で、アレクサは「大して苦労せずに探し出した」そう。
CDや音楽ファイルのコレクションが多い人は、「アレが聴きたい」と思ったときの、曲探しの大変さが分かるはず。その点、EchoとSpotifyのような音楽配信を連携させれば、その仕事をアレクサが全部やってくれる。これはとんでもなく楽だ。
アレクサの曲選びについてはこのぐらいにして、次に、Echoのスピーカーの性能について。早い話、音はいいか悪いかというと、「相当いい音を出す」というのがB君の評価。「相当」という点が気になるけど、具体的には「Boseのスピーカーには明らかに負けるけど、大音量が出るし、低音の迫力がある」のだそう。（※注 彼が持っているのはEcho Dotではなく、スタンダードなEcho）
Echoの音がワルくないので、彼は、自宅のオーディオデバイスに入っている音楽ファイルを聴くのにも、Echoを使っている。Bluetooth接続をすれば、オーディオデバイスの中の音楽ファイルを、Echoに送って再生することができる。
B君の自宅には、Bluetooth対応のオーディオデバイスがいくつもあり、普通なら、それぞれの接続操作が面倒だ。けれど、アレクサなら、声で指示すると「指定されたオーディオデバイス（のBluetooth電波）をアレクサが探し出して、自動接続するのでとても便利」なのだそう。
（※注 このようにBluetooth経由でEchoに音楽ファイルを再生させるとき、Echoはただのスピーカーになってしまう。その間、アレクサの機能は使えない。アレクサに曲選びをさせることもできない。Bluetooth接続を切ると、アレクサを使えるようになる）
B君は、Echo/アレクサを音楽のためだけに使っているわけじゃない。最初に書いたように、「デフォルトで備わっているベーシックな機能」は便利でよく使うという。ベーシックな機能とは何かというと……
まず、出勤前に身支度をしながら、ニュースのサマリーを聞くのがB君の習慣。歯を磨いたり、服を着たりして手がふさがっていても、声でアレクサに言ってニュースを聞かせてもらえるので便利だ。同じように天気予報もEchoで聞く。
彼は料理をするので、キッチンタイマーとしてもEcho/アレクサが重宝するそうだ。手がふさがっていても、声で時間をセットできるからだ。
あとは、知らない単語の意味を、その場でアレクサに聞けるのが「ナイス」なのだそう。意味がわからないものをそのままにしておくのは、気分がスッキリしないが、アレクサがすぐ答えてくれるので知識が増えるし、気分もいいらしい。
こうしたこまごまとした便利さは、実際使ってみないとわからない。B君も、使って初めて「こんなに便利なんだ」とわかったそうだ。
B君によるEchoの最終評価は次のようになる。
「Echo/アレクサの機能のほとんどは大したことない」けれども「音楽を聴くならEchoはパーフェクトだ」