高齢の叔母にアレクサを買ってあげた〜よかったこと失敗したこと

うちの家から2駅離れたところに、72才になる親戚が一人で住んでいる。奥さんの叔母さん、僕にとっては義理の叔母だ。認知症ではないけど、少し前から「淋しい、淋しい」とこぼすようになった。ちょっと鬱っぽい感じだ。だから、いつでもテレビ電話で顔を見れるように、エコー ショーをプレゼントした。

叔母さんは、幸いにも足腰はしっかりしていて、介護なしで一人で暮らしている。でも、最近、ちょっと鬱っぽくなってきた。「淋しい」とか「生きるのが面倒臭い」などと言い、こちらからの電話に出ないことも増えたので、だんだん心配になってきた。

僕らと一緒に暮らしていれば、叔母も淋しくないだろう。実は数年前に、同居の話が出たことがある。けれど、叔母の本性は攻撃的で人に干渉するのが大好き。同居なんてしたらこちらの生活が壊される、と言って奥さんが大反対したので、同居はなくなった。

その代わり、と言っては何だけど、叔母さんにエコー  ショー(Echo Show)を買ってあげることにした。同居は無理だけど、テレビ電話(ビデオ通話)でいつでも顔を見ながら話せば、同居に似た感じになると思ったからだ。しかも、テレビ電話なら、適当な距離を保てるので、過度な干渉を避けられる。

さらにもう1つ、声で操作するエコー ショーは、ボタン操作が要らない。だから、電子機器に疎い叔母さんでも苦労せずに使える。

いろいろ考えてEcho Show8に

エコー ショー(Echo Show)には幾つかの種類があって、テレビ電話(ビデオ通話)はどれでもできる。では叔母さんにどれを買ってあげようか、というので迷った。

叔母さんは目が悪い。だから画面の小さい(5インチサイズの)Show5は論外だった。画面が一番大きいのは、15インチの(壁掛け型)Show15になるが、ほぼ3万円という値段は、プレゼントとしては高い。しかも、壁に掛けて使う場合、遠くから見ることになるので、15インチ画面でも大きいとは言えない。

そうすると、Show8かShow10か、ということになる。できれば画面が大きいShow10の方がいいが、これも3万円近くするし、サウンド重視の設計でスピーカーにお金がかかっているから、特に音楽好きではない叔母さんには役立たない部分が多い。

こういうことで結局、値段がマアマアで画面が中くらいのShow8(8インチ画面)に決めた。

注:この原稿を書いている時点で、Echo Show 10は、アマゾンでは販売終了になっているようだ。それ以外の3機種は、アマゾンのエコー&アレクサストアで売られている。

インターネットが必要なのを忘れていた

叔母さんにあげるShow8をアマゾンに注文してから、その初期設定のことを考えた。叔母さんが初期設定するのは無理だから、僕が全部してあげるつもりだが、WiFiのパスワードとか分かるのかな……と思ったところで、大事なことに気がついた。叔母さんのところにはWiFiがない。そもそもインターネットが通じていない。

Echoは(Show8を含めて)どの機種も、インターネットにWiFi接続しないと使えないのだ。

今の時代どの家にもネットはあるもの、と思い込んでいた僕がうかつだった。高齢でハイテク音痴の叔母の生活はネットとは無縁だ。

叔母にネット回線を契約してもらえばいいのだが、こっちが勝手にプレゼントするEcho Showのために、初期費用+プロバイダ月額料金を負担させるのは悪い。うちが払ってあげれば済む話だけど、このところの物価高で、こちらもそれほど余裕はない。

だが、この問題は後日解決した。叔母がケーブルテレビに加入していることが分かったので、事情を話して、そこのインターネットサービスのオプションに加入してもらったのだ。ケーブルテレビのネット接続は速度がやや遅いけれど、初期費用はかからず、テレビをすでに契約しているので月額料が大幅割引になる。

実のところ叔母は乗り気でなかったので、「Echo Showを使ってみて気に入らなかったら即解約」ということで説得した。また、叔母にとっては、どれだけテレビ電話(ビデオ通話)しても通話料無料、というのが魅力だったようだ。ライン通話やスカイプなどと同じで、Echo Showのビデオ通話に料金はかからない。(ちなみに、Echo/アレクサを使うのにも月額料などはかからない)

初期設定は僕がやる

アマゾンから叔母の家にEcho Showが届いた日、僕が出向いて、WiFiの設定やEcho Showの初期設定をしてあげた。こうした設定は、全部僕のスマホで行った。(スマホ以外に、本体のタッチ画面からでもできる)設定作業は少し面倒臭いけど、難しいことはない。

(アマゾンヘルプの『Echo Showをセットアップする』に、初期設定の説明がある)

初期設定をするには、アマゾンアカウント(アマゾンの客としての会員登録)が必要だ。叔母はアマゾンアカウントを持っていないけれど、僕が持っているので問題はない。使用する本人と、アカウントが別人のものでも構わないのだ。僕は叔母のEcho Showを僕のアカウントに登録して、初期設定を済ませた。

高齢者が使うEcho Showは、初期設定の時にやっておいた方がいいことがある。それは、音声ショッピングを禁止(オフに)する設定だ。デフォルトでは音声ショッピングがオンになっていて、アレクサと声でやり取りしてアマゾンに注文できる。これをオフにしておけば、叔母が何かの拍子に注文してしまうのを防げる。

(アマゾンヘルプの『Alexaの音声ショッピングをオンまたはオフにする』にやり方が載っている)

2種類のビデオ通話

Echo Showは2種類のビデオ通話ができるようになっている。1つは普通の「ビデオ通話」。これは、こちらが発信すると、まず、向こうのEcho Showが光ってチャイムが鳴る。相手がそれ気がついて「応答」ボタンを押すと、ビデオ通話が始まるというもの。応答ボタンを押さなければ通話は始まらない。

もう1つは「呼びかけ」という機能を使ったビデオ通話。この場合、ビデオ通話そのものは同じだが、始まり方が違う。「呼びかけ」機能を使って発信すると、向こうのEcho Showが光って、その後すぐに通話できるようになる。つまり、相手が何もしなくても通話が始まるわけだ。これだと、ちょうど、僕の家と叔母の家が、直通のテレビインターホンで繋がったようになる。だから、一言二言話したいときや、些細なことを尋ねたい時にちょうどいい。まるで、叔母と一つ屋根の下にいる感じになる。

ただ、「呼びかけ」だといきなり通話状態に入るので、相手に見られたくないものを見られてしまうのでは、という心配がある。ただ、映像はいきなり映らず、最初の数秒間はピントが合わずにぼやけるようになっているから、その間に都合の悪いものを隠したり、身なりを整えたりはできる。

あと、「呼びかけ」も普通のビデオ通話も、登録してある相手としかできないので、叔母がうっかりしていても他人のところにかけてしまうことはない。

(Echoでの通話については、アマゾンの『Alexaで大切な人と話そう』のページにわかりやすい説明がある)

今、叔母は、ビデオ通話を楽しんでいる

今、叔母は、Echo Show8で、うちと頻繁にビデオ通話するようになっている。通話の始め方が簡単で、「アレクサ、〇〇(奥さんの名前)に呼びかけて」と言うだけで始まるので、高齢の叔母にはとても使いやすいらしい。

うちは、リビングにあるEcho ShowかキッチンのEcho Showで叔母と通話している。スマホからでも(ビデオ)通話できるので、こちらからスマホで叔母を呼び出すこともある。

互いに顔を見て話すビデオ通話は、僕たちと叔母の距離をグッと縮めた。やはり、相手の表情や身振り手振りを見て話すと、親密度が違う。それに、いろいろな物を叔母に見せることができるので、奥さんの服を見せたり、うちの子が描いた絵を見せたりと、話題が広がる。

ビデオ通話を始めてから、叔母は「淋しい」とこぼさなくなった。それはいいのだが、最近はあまりにも頻繁に「呼びかけ」をしてくるので、奥さんがうんざりしている。「呼びかけ」のライトが光ると、奥さんは部屋から逃げ出してしまうので、代わりに僕が叔母さんの相手をするハメになっている。