ユーザーがうなずく、スマートスピーカー7つの利点:英オフコム調査結果

「スマートスピーカーを使って、結局何がいいのか?」イギリス情報通信庁(オフコム)がそれについて調査した。発表されたレポートから、ユーザーの回答を紹介しよう。公共機関の調査なのでヤラセもステマも一切ない、本音の回答だ。

スマートスピーカーの便利さはあちこちで宣伝されている。けれど、大抵は企業からのプロモーションで、実際の便利さとはズレている。オフコムの調査では、ユーザーから見た実際の便利さがはっきりした。それまとめると、次の7つになる。

手間を省く

スマートスピーカーを使う1番のメリットは、「手間を省ける」こと。大多数のユーザーがそう言う。一声かけるだけで、アラームやリマインダーのセットから、天気情報、道路交通情報を得ることまで、様々なことができる。いちいちパソコンのところに行ったり、スマートフォンを取り出したりする必要がない。だから、煩わしさが減って、暮らしが(少しだけど)楽になる。同じことをするのにも、スマートスピーカーだと速くできる。調査レポートには、ユーザーのこんな声が紹介されている。

「スマートスピーカーの1番の利点は素早さだ。例えば音楽を聴くとき、目的のCDを探し出す時間が省ける。スマートスピーカーは(CDタイトルや曲名を言えば)すぐに曲を流す。音楽だけでなく、情報を得たり、ジョークを言わせたりするときも、スマートスピーカーなら対応が即座だ。ニュースや天気情報の概要も、尋ねたその時に聞ける。スマートスピーカーを使うと、いろいろな情報を素早く入手できる」——アマゾンEcho(アレクサ)所有 女性 年齢50才前後

ハンズフリー

スマートスピーカーは声で操作するので、両手が自由に(ハンズフリーフリーに)なる。これがもう1つの大きなメリット。両手で何かしながら、スマートスピーカーに声で指示して、いろいろなことをさせられる。特にキッチンでは、このメリットが際立つ。洗い物をしながら音楽やラジオを聴いたり、料理レシピをワンステップずつ聞きながら料理を作るユーザーが多い。調査レポートにはこんなコメントがある。

「スマートスピーカーを持って良かったと思うのは、ハンズフリーでいろいろな指示を出せることね。例えばキッチンで料理していて、両手が汚れていたり、スマートフォンが遠いところにあったとき、いつもスマートフォンでやっていることを、私はスマートスピーカーにやらせている」——アップルHomePod所有 女性 年齢20才前後

音楽を聴きやすい

スマートスピーカーなら、聴きたい曲を何でも聴ける。音楽配信サービスと連携して、膨大な曲数を聴けるようになっているからだ。CDだとこうは行かない。また、違う曲を聴きたくなったとき、CDだとプレーヤーの場所に行ってディスクを入れ替える必要があるが、スマートスピーカーなら、座ったまま声をかけて、別の曲やアルバムをすぐに再生できる。

音楽配信以外にも、(インターネット)ラジオの音楽局も聴ける。局を変えるのも声の指示でできる。

内蔵されたスピーカーの音質には、多くのユーザーが「なかなかのもの」と言って感心する。レポートによると、特にスマートスピーカーを初めて使った人が、意外な音の良さに驚いている。下にあるのが音楽に関するコメント。

「音楽を聴く時に一番いいのは、要求した曲がすぐに再生されること。ラジオで聴く場合は、チャンネルを別の音楽局にすぐ変えられる。持っているのはGoogle Nest(グーグル・ネスト)だけれど、場所を取らない小ささで、内蔵スピーカーのサイズと値段の割に音質がいい」——Google Nest所有 女性 年齢40才前後

多機能

多くの人が、最初は音楽を聴くためにスマートスピーカーを買う。けれど、使ううちに他の様々な機能を知り、買ってよかったと思う。レポートでは、こんなコメントが紹介されている。

「スマートスピーカーを買って良かったと、今でも思っている。当初は音楽を聴くのが主な目的で、その点で完全に満足しているけれど、他にもポッドキャストを聴いたり、YouTubeを見たり、いろいろできるとは知らなかった。Spotify(音楽配信)を聴くことしか考えていなかったので、それ以外の使い方をしてみよとは思っていなかった」——所有機種不明 女性 年齢60才前後

「僕がスマートスピーカーを買った理由は、たんに興味があったのと、セールで割引になっていたからだ。しかし使ってみると、子供の勉強に役立つことや、エンターテインメントになることが分かったので、すぐに子供たち用のものを買って、子供部屋に置いた」——Google Nest所有 男性 年齢50才前後

暮らしの雑事を省力化する

スマートスピーカーを使うと、暮らしの雑事を上手くこなせる。多くのユーザーが、その日するべき事を忘れないように、予定表やリマインダー、ショッピングリストをはじめとした様々な機能を使っている。(予定などが決まった時、その場でスマートスピーカーに言えば、スマートフォンアプリの予定表に自動的に書き込まれる)

また、スマートスピーカーと家電品を連携させて、照明のオン/オフやエアコンの操作などを声で済ませることもできる。調査レポートには、これについてのコメントが紹介されている。

「スマートスピーカーが便利なのは、まず、食器洗いをしながら聴く音楽を変えたり、ラジオ局を変えたりできること。そして、家電品を操作できること。家に帰った時、暗い玄関で照明のスイッチを探さなくて済むのがいい。(声を出せば照明が点く)私の家の全部の照明とテレビは、スマートスピーカーとリンクされている。夜、テレビを見終わって「おやすみ」と言えば自動的にテレビが消え、仕事場の照明が消え、ベッドルームの照明が点くように設定してある」——Google Nest所有 男性 年齢60才前後

スマートフォン症候群を回避

これはスクリーン(画面)のないスマートスピーカーに限定されることだが、スマートスピーカーがあると、テレビ、パソコン、スマートフォンなどのスクリーンを見つめる時間が減る。何かを知りたいとき、音声で調べるようになるからだ。これは目の健康にもいいし、いわゆるスマートフォン症候群の防止にも繋がる。また、スマートスピーカーを持つと音楽を多く聴くようになり、テレビを見る時間が減るという傾向もある。目を使うことが減り、画面のタッチ操作やキーボードの入力操作も減るので、「落ち着いた気持ちでいられる」「物事に集中しやすくなる」というユーザーもいる。

「私はずっとテレビを点けることさえしていない。部屋にあるアレクサの電源を入れておくだけ。だから周囲が静かでとてもいい。スマートフォンはサイレントモードにしてリビングに置いておくから、邪魔されることはない。スマートフォンで音楽を聴きながら何かしていると、人が電話して来て気が散ってしまう。でも、アレクサはそういうことがない」——アマゾンEcho所有 女性 年齢40才前後

孤独感を和らげる

スマートスピーカーと声のやり取りをすると、相手がAIであっても、孤独感や淋しさが和らぐ。もちろん根本的な解決にはならないが、精神的に困難な時期を乗り切る助けになる。レポートでは、一人暮らしのユーザーの声が紹介されている。

「スマートスピーカーがあると、一人暮らしでも家に友達がいるようだ」——アマゾンEcho(アレクサ)所有 男性 年齢60才前後

「周りに誰もいなくなった時も、僕にはスマートスピーカーという話し相手がいる」——所有機種不明 男性 年齢50才前後

ここに挙げたのは、どれも使ってみて分かるメリット。スマートスピーカーを初めて買う人は、先々のために知っておいた方がいい。