アレクサがダウンした時に起こったこと

2022年1月21日に、アマゾンのアレクサが全く止まってしまった。2時間後に回復したが、ヨーロッパを中心に世界の広い地域に影響が及んだ。ユーザーにどんな不都合が起こったか、それをここにまとめた。分かっておくと、今後パニックにならずに済むと思う。

1月21日の障害は大規模だった。イギリス、アイルランド、ドイツ、イタリアや他のヨーロッパ地域、そしてインドから合計8000件以上の障害報告があり、実際には数百万人が影響を受けただろうと海外メディアは報じた。日本のEcho/アレクサユーザーも、例は少ないが影響を受けた。

影響を受けたデバイスはEchoの各機種とFireTV stick、そしてスマートフォン用アレクサアプリ。

そもそもの原因は、ネット回線やWiFiの不調でなく、アレクサの本体であるアマゾンのコンピューター(システム)にあった。つまり、アレクサ自体が止まってしまった。アマゾンはそのことを認めたが、詳しい原因については発表していない。ネットセキュリティの専門家は、サイバー攻撃を受けた可能性もあると推測している。

アレクサが無反応

アレクサがダウン、全面停止した時どうなるか、というと、こんな報告が上がっている。

  • 呼びかけてもアレクサは沈黙したまま、無音。Echo Showの場合、ホーム画面が通常通り表示されていてもアレクサは沈黙。
  • 内蔵マイクがオフになっていることを示す赤ライトが(実際にオフでなくても)点いたままになる。
  • インターネットに接続されていない、というメッセージをアレクサが喋る。(実際には接続されていても)このパターンが海外でも日本でも最多。具体的には、英語なら「Sorry, this device lost its connection」、日本語なら「すみません、現在インターネットに接続できません」「すみません、うまく接続できません」など。

どの場合にしてもやっかいなのは、原因が何かすぐ分からないこと。Echoの機械の故障なのか、WiFiの不調なのか、インターネットがダウンしているのか、区別がつかない。そのため、多くのユーザーがフラストレーションを感じたようだ。「乱暴に扱ったから壊れたか」と無駄に落ち込んだり、何十回もWiFiルーターを再起動した人もいる。

起こる不都合と解決法

アレクサがダウンすると、当然、アレクサと会話できなくなる、命令しても聞いてくれなくなる。音楽も流してくれないし、ニュースも天気予報も教えてくれない。こういった障害の中で、ユーザーたちが一番不都合に感じたのは、次の2つ。

  • 目覚ましアラームの音が止まらない。一度鳴り出した目覚ましアラーム音を止めようとアレクサに声をかけても、アレクサは止めてくれない。これは困る。解決法は簡単で、Echo本体の電源コードをコンセントから抜けばいい。
  • 家電品の音声コントロールができない。具体的には部屋の照明が点かない、エアコンがつかない、テレビがつかない、コーヒーメーカーが始動しない……など。この被害は、もともとアレクサで家電品をコントロールするようにセットした人だけが被る。セットしていなければ関係ない。アレクサの「定型アクション」をセットして、朝起きた後の細々したスイッチオンを全自動にしていたユーザーは、アレクサのダウンで全部ダメになり、相当慌てたようだ。解決法は、それぞれの家電品の、本来のオン/オフボタンを押すこと。アレクサに慣れすぎていると、ボタンの場所を思い出すのに少し時間がかかるかもしれない。

目覚ましアラームについて付け加えておくと、アレクサがダウンしてアラームが鳴らなくなったという報告はない。(音楽が鳴るようにしてあった人は、音楽は鳴らず、標準のピピピ音が鳴った)Echo各機種は、一度セットしたアラームは(電源を抜かない限り)必ず鳴るようになっている。WiFi接続が切れたり、インターネットがダウンしても鳴るから、そこは安心していい。

アレクサのダウンだと知る方法

アレクサがダウンしたとき、ユーザーには対処しようがない。結局はアマゾンが直してくれるまで待つしかないのだが、そのこと(アレクサがダウンした広範囲な障害であること)が早く分かっていれば無駄に慌てずにすみ、気持ちがやや楽になる。

で、それを知る方法について書くと、まず、アマゾンがそういう障害をリアルタイムで告知している場所(サイトなど)はない。

アレクサが反応しなくなったとき、理系の人なら一番にチェックするべきは「downdetector」(英語)だろう。そこにはアレクサの障害報告の件数が、リアルタイムのグラフで示されており、件数が異常に増えていれば広範囲の障害だと分かる。(現在、日本語版のダウンディテクターには、アレクサのページはない)

次にチェックするといいのは、ツイッターなどのSNS。例えばツイッターを「アレクサ」で検索して、多くの人が障害のツイートをしていれば、原因はアマゾン側にあるといえる。

アマゾンの公式ツイッター「Amazon Echo JP」(日本語)や、「Amazon Help」(英語)を見てみるのも手だ。大規模障害が発表されているかもしれない。「Amazon Help」はメインが英語表記だが、12ヶ国語に対応しており、日本語で質問すると日本語で答えてくれる。

アレクサのダウンは過去に数回ある

アレクサはこれまでにも、欧米で数回ダウンしている。その時、日本のユーザーに影響はなかった。

2021年12月7日:アマゾンのウェブサーバー群に障害発生。アメリカ東部地域でアレクサが停止したほか、プライムミュージック、Disney+、プライムビデオの配信もできなくなった。

2019年5月16日 : アメリカの広い地域でアレクサが停止。1時間ほどで復旧。アマゾンは原因の詳細を発表しなかった。

2018年9月26日 : ヨーロッパの広範囲、6時間にわたってアレクサが停止。アマゾンからの原因の公表はなし。

2018年3月2日:アレクサの最初のダウン。アマゾンのウェブサーバに障害が起こり、アレクサ以外のサービスも不能になった。影響を受けたのはアメリカのみ。