Amazon Echo/アレクサで英語を勉強する方法

僕がアメリカで初めてAmazon Echoを買ったとき、英語の勉強にとても役立った。Echo/アレクサとのやり取りは、全部英語だったから。日本版Echoでも、「マルチリンガルモード」に切り替えれば同じことができる。それだけじゃなく、日本語設定のままでも、英語勉強用のスキル(拡張機能)を使って、ある程度までは英語力を伸ばせるよ。今回のブログでは、Echo/アレクサを英語の勉強に役立てる方法をいろいろ紹介しようと思う。

※ この記事は2024年3月にアップデートしました。

アレクサとのやり取りを全部英語でするには

これ、僕が一番お勧めする方法。アレクサの基本設定を英語仕様にしてしまうんだ。こうすると、こちらから何を言うにも英語で言わなきゃならないし、発音が悪いとアレクサは聞き取ってくれないし、アレクサからの答えや確認、質問なんかも英語だから、嫌でも英語の勉強になる。ただし、上級を目指す人向けで、英語入門者にはチンプンカンプンすぎて向いてないよ。

アレクサを英語仕様にするには、やり方が2つある。1つは、「マルチリンガルモード」にして使うやり方。これだと、アレクサは英語/日本語の両方で話すようになる。英語で話しかけると英語で、日本語なら日本語で、というように。もう1つは、(日本で買った)日本語版Echo/アレクサを、アメリカのAmazonアカウント(Amazon.comのアカウント)で登録し直すこと。こうすると、日本で買ったEchoでも、完全なる英語版Echoに変身する。アメリカ人がアメリカで使っているものと同じになる。

1. マルチリンガルモードに変更する

日本で買った日本版Echoをマルチリンガルモードにすると、アレクサは英語で喋る。その発音は、日本人向けの教科書英語なんかじゃなく、アメリカやイギリスの人たちが使ってるEcho/アレクサと同じネイティブ英語。

例えば「Hello!」と話しかけると、「Hi, there」と返してくれる。「Are you busy?」と訊くと、「No, I’m free to talk」と言ってくれる。「Do you have a secret?」と訊くと「I don’t have any secret to share」と意味深な答え。「Tell me a joke」と頼むと、英語の短いジョークを言ってくれる。(アレクサの答えはその時々で変わるので、毎回こうなるとは限らないよ)

マルチリンガルモードに切り替えるには、「アレクサ、日本語と英語で話して」と話しかければいい。(とても分かりやすい説明が、Amazonの「Alexaと英語を学ぼう」という特設ページにあるよ)Alexaアプリを操作してもできる。

これで、アレクサがどう変わるかというと……動画がアップされている。(この動画ではEcho Show5を使っている。画面付きのEchoだと、アレクサの言葉が文字で表示されるので、勉強には持ってこいだ)

ただ、マルチリンガルモードには限界があって、全部が全部英語になるわけじゃない。例えば英語で「ニュースを聞かせて」と命令しても、流れて来るニュースは日本のメディアが放送している日本語のニュースだ。日本版Echoは、日本のメディアとしか連携(というか業務提携)していないからだと思う。

2. アカウントをAmazon.comに変更してEchoを100%英語化する

Echo/アレクサを英語化するもう1つの方法は、米国Amazon(Amazon.com)でアカウントを作り、その米国アカウントでEcho/アレクサにログインすること。

日本のAmazonで買ったEchoのアカウントは自動的にAmazon.co.jpのアカウントになっているけど、Alexaアプリを起動させた時に出てくるログイン画面で、米国アカウントでログインすれば、米国アカウントに変更される。

こうすると、Echo/アレクサが英語で喋るだけじゃなく、流してくれるニュースも英語になったり、アメリカ人向けのスキルを有効化して『Jeopardy!』(有名なクイズ番組)スタイルのクイズをやったり、会話で進める冒険ロールプレイングゲームを(もちろん英語で)やったりできるようになるよ。

(日本のアカウントでログインし直せば、日本のアカウントに戻る)

そして極めつけは、アレクサと適当な会話を(もちろん英語で)ダラダラできること。日本版Echoの言語設定を英語にしただけじゃ、こっちが何か言ったときにアレクサから返ってくる返事は1回だけ。それ以上話を続けたり、発展させたりはできないんだ。

でも、米国アカウントでログインすると違う。「Alexa. Let’s chat!」と呼びかけると、その後アレクサと何往復も会話ができるんだ。文字通り、アレクサとチャットができる。(なんでも、世界のAI研究者が知恵を絞って、最低20分は会話が続くようにアレクサをアップデートしたらしい)

と、まあ、こんなふうに、米国アカウントでログインすると英語の勉強に役立つんだけど、日本で使うには不便なことが他におこってくる。例えば、日本のアマゾンで買い物ができないとか、日本版のスキルが使えなくなるとかね。

だから(かどうかは確かじゃないけど)Amazonは、こういう使い方を全然推奨してないし、公表してもいない。ヘルプページのどこを見ても、「米国アカウントでアレクサを使う方法」なんて書かれてないんだ。でも、やり方を知りたい人はマシュさんというブロガーさんのブログを読むといい。(このマシュさんは、Spotifyを聴くために日本版Echoのアカウントを米国アカウントに変えている。米国アカウントの取り方から説明してくれていて、僕が説明するよりずっとわかりやすい)他にtshimbaさんのブログ「tshimba’s blog」も参考になる。

本サイトを手伝ってくれている同僚のHiroshiも、英語上級者を目指して勉強中で、Echo/アレクサを米国アカウントで使っている。ただ、必要に応じてアカウントを米国⇆日本に切り替えるのが面倒だし、頻繁に切り替えて予期せぬバグが出るのも心配だと言って、家族用とは別にEcho Dotを1台買い、最初から米国アカウントで設定し、英語勉強専門にして使っている。

出来合いの英語勉強用スキルもいろいろ

Echoには、設定用のAlexaアプリ(やAmazonサイト内の専用ページ)にある有効化ボタンを押すことで使えるようになる「スキル」がたくさんある。その中に、英語勉強用のものがいくつかあるので紹介したい。これは、言ってみれば、英語学習プログラムみたいなものだよ。どれもアマゾンとは別の会社(や個人)が作ったもので、初〜中〜上級向けまでいろいろある。まずは中〜上級向けをご紹介。(スキルを有効にする方法は、Amazonサイトのヘルプページ「Alexaスキルを有効にする」を参照)

オールイヤーズイングリッシュ〜このスキルを有効化すると、英語学習者向けのポッドキャスト「オールイヤーズイングリッシュ(All Ears English)」を聞けるようになる。このポッドキャストはアメリカの3人のESLの先生が、2014年頃からずーっとやっているもので、英語学習者の間では結構有名。(詳しいことは『英語学習者のポータルサイト English Hacker』の記事にわかりやすく書いてある)ESLというのは、英語を喋らない国の人に英語を英語で教えるコースだよ。このポッドキャストも全部英語。ちょうどNHKの英会話講座が、説明や解説の部分まで全部英語になった感じ。1回分の長さは約15分程度。実はこれ、Echoじゃなくても、サイト『All Ears English』に行けば過去の分全部を聞けるし、ダウンロードもできるよ。僕も、アメリカにいた頃から今までずっと聞いている。英会話上級を目指す中級者に、非常にお勧め。Amazonのスキルページはこちら

今日の英語の単語〜Echo用のゲームスキルで有名なアメリカの会社Volley Inc.が、日本人向けに提供している、かなり上級者向けのスキルだ。1日に1つの英単語の意味を、英語で、教えてくれる。その単語を使う場面の具体例なんかも、英語で、教えてくれる。しかも、取り上げられる単語が、アメリカ人でも教養のある人しか使わないようなちょっと難しいもの。英英辞典を使うレベルの上級者なら、「へえー、そんな単語あったんだ」という新鮮な驚きがあるはず。YouTubeにサンプル動画がある。Amazonのスキルページはこちら

実践英会話〜英会話のシーンごとにロールプレイングできるのが特長。会話の内容は難しくない。スピードを3段階で調節できるので、初級者でも大丈夫。また、アメリカ英語やイギリス英語、オーストラリア英語などのアクセントを指定できるのは面白い。Amazonのスキルページに詳しい説明がある。

EFデイリー英語クイズ〜世界最大級の語学学校 EF Education Firstが提供するアレクサ スキル。英単語に特化したクイズを出してくれる。TOEIC 550点を取るのに必要な単語を覚えられるそうだ。Amazonのスキルページに説明やレビューがある。

トゥデイズイングリッシュ – 試験に役立つ英語トレーニング〜英会話スクール「AEON(イーオン)」が提供する英語トレーニングコース。アレクサと対話しながら、英検5級の単語や構文を覚えられるようになっている。Amazonのスキルページに詳しい説明がある。

初級向けスキルもいろいろ

次に、小中学生レベルの初級者向けスキルを紹介しよう。

中学英単語A/B〜中学の教科書に使われている必須英単語600を、音声で学ぶことができる。(「中学英単語A」で300の単語、「中学英単語B」でもう300の単語)アレクサが英語で言った単語の意味を、日本語で答えていくという方式。短い例文をアレクサに言わせることもできるので、短文リスニングの練習にもなる。詳しい説明と、取り上げられている英単語のリストが、Amazonのスキルページ「中学英単語A」と「中学英単語B」のそれぞれにある。

中学一年の英単語〜これも、アレクサが英語で言った単語の意味を日本語で答えるという方式。中一の英語の教科書に頻出する300の単語から出題される。5問1セットで一旦終了するので、毎日ちょこちょこ短時間やるのにいい。(もっと続けたい時は、アレクサに言って、最初から始める)詳しい説明がAmazonのスキルページ「中学一年の英単語」にある。

英語クイズ〜ECC外語学院が提供するスキル。アレクサが英語で3つのヒントを言うので、どの英単語のことを言っているのか、いくつかの選択肢から選択する。(英単語を当てるクイズ)選択した単語の番号を日本語で言えばいいので、英語の発音が今一つでも大丈夫。詳しい説明がAmazonのスキルページ「英語クイズ」にある。

子供英語-ビギナーレベル〜幼稚園から小学校低学年の子供が対象。英単語を覚えるためのスキル。アレクサが英単語を言ってから、それと同じ日本語の単語を続けて言ったり、英単語だけ言って子供に日本語の単語を言わせたりする。取り上げている英単語は30語。説明と単語のリストがAmazonのスキルページ「子供英語-ビギナーレベル」にある。

ファミリー英会話〜英会話というより、「How are you?」「Pretty good」といった短いやり取りに慣れることができる。アレクサが全部喋ったり、日本語訳を言ったり、間を空けてこちらにリピートさせたりする。簡単な紹介ビデオがYouTubeにアップされている。詳しい説明はAmazonのスキルページ「ファミリー英会話」にある。

上に挙げた他にも英語勉強用のスキルがいくつかある。例えば『とっさの旅英語』とか『とっさの英語』とか。でもこれは、(真面目に英語を勉強したい人にとっては)冗談レベルなのであまり勧めない。

Echo/アレクサのスキルは増え続けていて、英語勉強用のものもこれから新しいものが増えていくと思う。だから、AmazonのAlexaスキルショップを時々チェックしてみるといいんじゃないかな。今のところ(2024年3月現在)、ほぼすべてのスキルが無料だ。

アレクサに洋書を読み上げさせて、リスニングを鍛える

僕がリスニング力アップのためにずっとやって来たのが、Echo/アレクサに洋書のKindle本を読み上げさせて、聴く、ということ。「アレクサ、○○○○○○(本の題名)を読んで」と命令するだけで、アレクサが本の文字を読み取って、声にしてくれる。つまり朗読してくれるわけ。(具体的なやり方はAmazonヘルプの「Alexa Kindle読書補助機能」を参照)

この朗読が、素晴らしくいいんだな。発音もアクセントも、ネイティブの人間女性が話す英語に迫っている。しかも洗練された感じがある。(ただし、洋書を読ませたときのことだよ。和書を読ませたときの日本語は、平板で、間の取り方が変で、お世辞にもいいとは言えない。あと、和書のTOEIC対策本なんかに出てくる英語の部分は、全部カタカナ英語になっちゃうから、和書には注意)この素晴らしい洋書の朗読は、日本版Echo/アレクサのアカウントでもできる。

でもね、ちょっと難点もあった。

それは何かというと、アレクサとKindle本の連携があんまり上手く行っていないこと。例えば、アレクサやAlexaアプリが読み上げ可能なKindle本を上手く認識してくれない。買ったその本がちゃんとあるのに、Alexaアプリに表示されず、「本が見つかりません」となることが、結構あるんだ。もう一つ、早送りや巻き戻しや章のスキップを声で命令しても、気まぐれにしか作動してくれない。

Amazonの技術陣に改善を期待したいんだけど、2年前から状態は変わっていない。だから、今の僕は、Kindle本の代わりにAudible(オーディブル)を聴くようになった。

Audible(オーディブル)はAmazon傘下のオーディオブック(ボイスブック)ストアで、入会すると、人間のナレーターが読み上げた本の録音を、Echo/アレクサで聴けるようになる。きちんと連携しているし、早送りや巻き戻しもできる。Echoじゃなくても、スマホやPCでも聴けるから、スキマ時間で英語の勉強ができるのもいい。

Kindleにしろ、Audibleにしろ、本の朗読を聴くのは、英語上級を目指す中級者におすすめ。「ブロークンな英語はもういいよ、それより、1つのセンテンスが長い、上級英語を身につけたい」という人にちょうどいいと思う。

Audibleの詳しい説明はAmazonサイトにある。最初に出てくるオレンジ色の『無料体験を試す』ボタンを押すと(いきなりは無料体験申し込みとはならず)、詳細説明のページに行けるようになっている。(少し不思議なつくりだけど)

Kindle本は、アレクサとの連携がいまいちだけど、洋書を読書するには値段が安くていい。1冊ずつ買ってもいいけど、たくさん読む人には月額980円で読み放題(2024年3月現在)の「Kindle Unlimited/キンドル・アンリミテッド」というのもあるよ。

最後の最後に、これは僕個人の意見だけど、英語ができるようになるには、アレクサを利用するだけじゃなく、本当に生きている生身の外国人と話すのが大事だ。生きている相手に向かって話して、通じたり通じなかったり、ドギマギしたり嬉しくなったり、時には冷たい反応をされたりする経験が大事、だと僕は思う。